「附中追究単元探訪」その9

ふるさとに生きるpart2(地理的分野・東北地方)

『(福島の)安心を何としても取り戻さなければ!』

福島の魅力を見つけるために、そして、福島の安全をこの目で確かめるために、

バスで10時間かけて、福島視察に出かけます。

今回のpart2では、その様子を紹介します。

 

①県立福島高校SSH部との交流

最初の訪問先は、文科省スーパーサイエンススクールに指定されている福島高校だ。

福島高校SSH部は、震災後の福島の現状について科学的に実証実験を重ね、国内外へ広く発信している。

私たちの狙い、「福島の安心を発信したい!」と重なります。

A男「風評は時間が経てば解決すると思っていたが、福島高校の先輩たちは、自分たちの手で解決したいという思いがあった」

B子「豊かな自然や温泉が魅力だ。魅力を知ってもらわないと安心まではしてもらえない」

C男「伝え方によっては、トラウマを蘇らせてしまう。被災されたかたの心情を考慮しながら、福島のことを正しく理解してもらうことが大切だ」

 

②飯舘村・菅野村長のお話を伺う

菅野村長から、次のようなお話しをいただいた。

・飯舘村では震災前から「スローライフ」を進めてきた。村で古くから使われている「までい(手間暇惜しまず、心を込める)」という言葉に込められており、「までいライフ」を推進している

・震災で、今までの生活の有り難さがわかった。飯舘村では、3/11を「当たり前を有り難いと思う日」に制定した

・村のあらゆる産品がつくれなくなったが、後ろ向きにならず、逆に震災を逆手に取る気持ちで復興しようと、村をあげて頑張っている

D子「震災で得た“御縁”を降らすにするという考え方を尊敬した。震災にはマイナスイメージしかなかったので、発信で使えそう」

E子「今、生きていることが当たり前だけど、当たり前がいつ無くなるか分からないので、当たり前を大切にしたい」

F子「もっと幸せになりたいの、“もっと〇〇”を求めず、今の生活に満足し、何かに頼るのではなく、自分で生活を創っていきたい」

 

③飯舘中生と初対面

スカイプでは交流していた飯舘中生と念願の初対面!

飯舘中は「飯舘中ホストタウンプロジェクト」として、東京オリンピックで、ラオスのホストタウンになるための活動を行っていた。

これは、視察の目的である福島・飯舘の魅力発見つながる!

 

G子「ラオスに魅力を伝えるPRの動画の作成には、金銭的課題が見つかった。追究内容を生かして助言できたのは、これまでスカイプで一緒に交流してきたからだ」

H子「ラオスに花の種を送りたいと言っていたので、メッセージカードを付けることをアドバイスした。福島の安心を届けることについて、まずは同世代の人に発信するのがよい、というアドバイスをもらった」

 

④田中俊一さん(元原子力規制委員長)のお話を伺う

I男「モニタリングポストは、放射線が少ないところに設置されているのではないか?」

⇒田中氏「ない。私がモニタリングポスト設置の責任者であった。数値が低くなった所は外して、大事な所に持っていく。ただ、モニタリングポストがあると、数値が一人歩きするので、いつまで設置しておくものではないと思っている」

J男「チェルノブイリで生まれたチョウの羽の大きさが違うことがあると聞いた。細胞レベルでよくないことが起こっているのではないか?」

⇒田中氏「それはない。長﨑・広島でも大量に被ばくしているかたがおられるが、2世3世で変なことが起こってない。国際的な調査ではっきりしている」

K男「日本の基準である100ベクレルは、国際基準の1000よりかなり低い。これは国民に対する優しさと思っているが、基準値が低いことで風評被害が起こっているということはないか?」

⇒本当にその通りだ。チェルノブイリの時は、1000から6000でよいと緩くなった。日本は500から100と、厳しくなった。国際基準の1000なら、飯舘のキノコや山菜も問題ない。見直しの時期である」

 

⑤仮設住宅を訪問

最終目的地は、福島市内にある飯舘村の松川第一仮設住宅である。

(仮設に暮らしているかたのお話)

「震災前は4世帯一緒に暮らしていた。ひ孫が小学校に入るために、制服や鞄を買って準備できた時に震災になって、家族がばらばらになった。震災さえなければ、一緒に仲良くやってたと思うと泣けてくる」

「避難指示が出て、息子は牛100頭を連れて千葉に避難した。息子はどうやって暮らしているのかと考えると涙が止まらなかった。千葉で牛の肉が売れればよいと思ったが、福島の牛ということで安くしか売れなかった」

 

part2は、ここまで。

次回は、最終回。

いよいよ「福島の安心を何としても取り戻さなければ!」と、行動を起こします。

どんな方法をとるのでしょうか?

本日のお相手は伊倉でした。

次回をお楽しみに。