附中日記 

恒例となりました附中追究単元紹介。今回は、理科の巻です。

さあ、私は誰でしょう。最後まで読んでいくとわかると思いますが、誰かを考えながら読んでください(次の行くらいでわかると思いますが…)。

個人的に、いちばん印象に残っているのは、昨年度やった「ペットボトルロケット」です。
隣の中学校の壁を越えて入っちゃうんじゃないか?
グラウンドを越えて、外に飛び出すんじゃないか…などスリル満点の単元でした。
しかし、まさか、あの機体が、最後に学年一飛ばしてしまうとは…。

まあそれは置いといて、今回はせっかくなので在校生が誰も知らない、2年前にやった単元「最速は誰だ」を紹介します。
最速って?走るの?…
ちがいます。
この単元はモーターカーを自作し、誰がいちばん速いかを競う単元です。ミニ四駆じゃないですよ。
下の材料を使い、最速をめざしてモーターカーづくりに励みました。

・エナメル線  ・ビニル導線  ・電池(1つのみ)
・電池ホルダ(1つのみ)・ネオジム磁石(4つまで)
・プーリー(4つまで) ・ゼムクリップ
・プラダン(1台につき1つ。作り直す場合は新たに使用してよい)
・竹串  ・輪ゴム  ・ストロー
・文具類(セロテープやガムテープ、ボンド、はさみ等)は何でも可
※タイム計測のときに限り、満タンの電池を貸し出す。

えっ。モーターないじゃん…。ギアないじゃん…。
やっとこの単元の難しさに気づきましたか?
そうです。エナメル線を使って、モーターも自作するんです。ギアの代わりに輪ゴムで回転を伝えるんです。こんなので、モーターカー作れるの?それが作れちゃうんです。ちなみに下の写真のような感じです。

じゃあ、このモーターカーでどれくらいのタイムが出せるのか?
このモーターカーにつくりが近いiwawaki01は…何と…
3mのコースを90秒で駆け抜けます。
遅い、遅すぎる…。
参考までに 陸亀の歩行速度 時速350m
iwawaki01   時速120m
惨敗です。遅いと有名な亀よりもはるかに遅いです。しかしゴールすればいい方で、大体の子は途中で止まってしまいました。

しかし、ここであきらめないのが附中生。どうやったら、モーターのパワーが出せるのか、そもそもどうやって回転を生み出しているのかについて考え、意見交流をしたり、近くの高校に取材に行かせていただいたりして、最速マシンを作り出そうと、放課も使って一生懸命モーターカー作りに励みました。モーター―の回転数を計測しながら磁石の位置を変えたり、コイルの形状を変えたりして、電流と磁界が生み出す力の大きさを最大限に上げようと工夫を繰り返しました。

下図のようなモーターのつくりにし、電流がコイルに流れる回数を増やして、一気にタイムを縮めた子もいました。

初めはゴールできただけで喜び、次は1分切りをめざし、30秒切りをめざし…と、日に日にレベルが上がっていく戦いでした。
毎時間、トップが入れ替わる激しい戦いについに終止符が打たれました。
最速タイムは…K君の8秒99。3mを8秒99…。
速いのか?たぶん伝わらないと思いますが、目の当たりにするとかなりのスピードです。そもそも、iwawaki01の90秒と比べたら、いかに飛躍的に進歩をしているかわかるでしょう…。きっとこうやって科学は進歩してきたのでしょう。努力した結果、なかなか速く走らせられない子や、そもそも工作が苦手で動かない子もいましたが、理科では、仕組みを考えて、それを解き明かそうとする過程が大事なのです。

このままだと、私は附中生に惨敗したように見られてしまいます。ちなみに、改良を加え、20秒を出したiwawaki02を更に改良したiwawaki03は、4秒台を出しました。まだまだ附中生には負けません。しかし、この単元と同じような材料を使って行われる高校の全国大会の優勝タイムは3秒くらいだそうです。上には上がいますね。

というわけで、ペットボトルロケットといい、モーターカーといい、遊んでいるような単元に見えるかもしれませんが、決してただ遊んでいるわけではありません。全力で遊んでいるんです。理科の追究単元では、遊んでいる中から、モーターの仕組みによる電流と磁界の仕組みと利用に迫ったり、ペットボトルロケットを飛ばす過程で空気抵抗を利用する術を考えたりと、科学の有用性に迫ろうとしています。ぜひ、今年の単元も全学年楽しみにしていてください。

今回のお相手は、2年理科担当 岩脇 芳弘でした。予想は当たりましたか?(iwawaki01とか言ってたしね)。

さあ、次回はあるのでしょうか?